今回は、亡くなった方の看護を行ったのに、相続人になれないいわゆる「長男の嫁」に関する法律の改正のセミナーを行いました。
セミナーのレジメを下記に掲載しますので、参照ください。
令和元年11月18日
<相続・遺言・後見のセミナー>
第4回 特別の寄与の制度の創設について
主催:香里園行政書士の会
l 相続人以外の方の貢献を考慮するための方策が法律に規定されました。
l 2019年7月1日施行
事例:亡き長男の妻(いわゆる長男の嫁)
(相続法改正前):
Ø 長男の妻が、どんなに亡くなった舅・姑の看護を行っても、相続人ではないため、相続財産を受け取る権利がありません。
Ø 他の相続人(長女・次男)は、親の介護を全く行っていなかったとしても、相続財産を受け取る権利があります。
(相続法改正後):
Ø 長男の妻が、相続人でないことには変わりないが、相続人(長女・次男)に対し、介護等の貢献に見合う金銭の請求をすることができます。
l 法律改正のポイント
相続人以外の被相続人(亡くなられた方)の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合には、相続人に対して金銭の請求をすることができる。
Ø 親族: 配偶者
6親等内の血族:祖父母・ひ孫(3親等)、甥姪の子(4親等)、従兄弟の子(5親等)
はとこ(祖父母の兄弟姉妹の子の子)(6親等)
3親等内の姻族:配偶者の祖父母・ひ孫の配偶者、配偶者の兄弟姉妹の子、
甥姪の配偶者、叔父叔母の配偶者
※内縁の配偶者、事実婚のカップルは、この制度の対象にはなりません。
Ø 手続:
1. 特別寄与者(無償で亡くなられた方の療養看護等を行った親族)が、相続人に寄与に応じた額の金銭の支払いを請求する。
2. 当事者間で、協議が調わないとき、又は、協議ができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して、協議に代わる処分を請求することができる。
3. 期限:特別寄与者が、相続の開始及び相続人を知った時から6カ月以内、相続の開始の時から1年以内
4. 家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。
(療養看護の場合)
① 寄与の期間については、明確な基準は無いが、相当長期間に及ぶもの
② 方法及び程度については、単なる家事援助ではない介護で「要介護2以上」の状態であることが目安
(家業従事の場合)
① 労務の提供が3年程度の長期間に及んでいることが目安
② 専業である必要は無いが、労務の内容が片手間ではなく相当な負担を要するもの
5. 特別寄与の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
6. 相続人が数人いる場合には、各相続人は、特別寄与料の額に法定相続分を乗じた額を負担する。
l 生前にお世話になった相続人以外の方に、上記のような手間をかけず、スムーズに遺産を渡す方法があります。
⇒ 「公正証書遺言」を生前に書かれることをお勧めします。
その他 養子縁組・生前贈与などの方法もあります。